ゲーミフィケーション:コンサルタント型ビジネス活用法

ゲーミフィケーション®」という言葉を聞いたことがありますか?

ゲーミフィケーションというのは、人を夢中にするゲームのノウハウを、ゲーム業界以外のビジネスに活用することで、人の自発的な行動を促す仕組みのことです。

コンサルタント型ビジネスの集客に「ゲーミフィケーション」のノウハウを活用すると、売り込まなくても理想のクライアントを集客することができるようになります。

 

ゲーミフィケーションとは

ゲーミフィケーション【gamification】の一般的な定義は、

人を夢中にさせ、熱中させ、虜にするゲームの手法や仕組みといった要素を、「ゲーム以外」の日常生活、社会生活において活用することで、楽しみながら課題の解決を図ったり、途中で脱落することなく目的を達成したり、モチベーションを維持したままゴール出来るようにする仕組み

のことです。

企業においては、集客や、顧客の積極的な利用促進、リピーター、ファン化、あるいは人事制度などに導入されています。

元来、TVゲームを始めとするゲームというものは、生活必需品ではありません。

だからこそ人を惹きつけ、夢中にさせるための人間の行動心理や、感情、快楽などを上手く利用した仕組み、デザインが施されています。

アメリカのゲームデザイナーであるジェイン・マクゴニガル氏は「ゲーミフィケーションを機能させる要素」として

・自ら達成したいと感じさせるための「しつこいまでの楽観性」

・あまり負荷をかけずに新しい能力が得られていく「至福の生産性」

・ユーザー同士が自分の居場所を確かめられて、それが次のモチベーションを生み出す「ソーシャル性」

・未来や世界といった壮大なスケールを持ち、関わることが楽しくなる「ストーリー性」

を挙げており。こうしたゲーム的な要素を既存のシステムに組み込むことで、利用者が自発的に行動したり、行動に対する責任を感じることなどの効果を発揮すると述べています。
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例えば、ビジネスであれば、

・販促プロモーション
・商品、サービス
・組織の仕組みづくり
・人材育成
・セールス
・お客様とのコミュニケーション
・顧客ロイヤリティの獲得
 
など、利用する人間の行動促進や、愛着心・思い入れといったエンゲージメントを高めるなど、あらゆる場面に活用することが出来ます。
 
 
また、アメリカでゲーミフィケーションのシステムを提供する「リップル」社のCEOであるダニエル・デボウはゲーミフィケーションについてこのように述べています。
 
「ゲーミフィケーションは仕事を不真面目に、ふざけて楽しむという事ではない。人の本性に訴えかけて、人を動かすための仕組みだ」と。
 

ゲーミフィケーションの歴史

2010年頃からアメリカで使われだしたゲーミフィケーションという言葉は、「ゲーム化」を意味する【gamefy】から派生したものです。

2010年半ば頃より、ウェブマーケティング業界で「ゲーミフィケーション」という言葉が使われ始め、2011年1月には、上述のジェイン・マクゴニガル氏の書籍「幸せな未来はゲームが創る」などが発刊されました。

また、「ビジネスウィーク」などのメディアにも紹介され、2011年8月にアメリカの大手調査会社ガードナーが発表したレポートに、大きなトレンドとして取り上げられた事から一般化するようになりました。

 

ゲーミフィケーション17の技術

私は「ゲーミフィケーション」を、「ゲームの「遊び自体」の中にある、人を夢中にさせる、楽しませる、面白くさせるためのノウハウを体系化したもの」と定義しました。

あなたがゲームを遊んでいて、ついつい徹夜してしまう、のはゲーム自体に、人を夢中にするノウハウ、つまりゲーミフィケーションが活用されているからです。
 
 
このゲームの「遊び自体」に活用されているノウハウを、17個のノウハウに体系化し、「ゲーミフィケーション17の技術」として、とりまとめました。

ビジネスで活用される、人を夢中にする、面白くするためのノウハウは全て「ゲーミフィケーション17の技術」でカバーされています。
 
 
ここからは、「ゲーミフィケーション17の技術」について、一つずつご紹介していきます。
 

1.レベルアップの技術

「レベルアップ」の技術とは、目標と現状の差が一目で分かるようデジタルで数字でわかり、あとどれくらい行動すれば目標に達するかもデジタルに数字でわかる仕組み、のことです。

行動量が明確になることで、人はそれを達成するためのモチベーションが生まれていきます。

また、レベルが上がるごとに人は達成感を感じます。
 
達成感を感じると、脳からドーパミンが放出され、繰り返し同じ行動を行うためのモチベーションとなります。

さらには、自分が好きな世界の中でレベルが高い状態にあると、人は優越感を持ちます。
優越感を持つと、その対象により愛着を持つようになります。

レベルアップの技術は、本来はやった方が良いのだけれど、なかなか継続しづらいものに導入すると効果的です。

例えば、

・居酒屋「塚田農場」の名刺が昇進していく仕組み
・ラーメン「一風堂」のポイントカード
・航空会社のマイレージ
・楽天のPointClub

などに活用されています。
 
 

2.不足感の技術

「不足感」の技術とは、お客さまが自分から何かを集めたくなるように行動を促進する仕組み、のことです。

集めるべき対象物(アイテムやメダルなど)の全体枠やゴールが示されること、
集めるものが違う種類でバラエティ性、コレクション性があること、
集める過程が視覚化されること、

この3つの要素が揃うことで、全部集めたいという不足感が自然に起こり、自分から積極的に集めたいと思うようになっていきます。

例えば、

・ディアゴスティーニなどの分冊百科
・住吉大社の招福猫
・プロ野球カード
・ビックリマンチョコのシール

などに活用されています。
 
 

3.バッジ・実績の技術

「バッジ・実績」の技術とは、何らかの行動の成果や実績に応じて、それを示すバッジや称号、ステータス・シンボルなどを与え、明示化する仕組み、のことです。

「笑顔が素晴らしい」「サポート力が素晴らしい」「営業力が素晴らしい」というように行動の成果や実績を、一つの軸だけでなく、さまざまな価値観や軸で評価をすることが出来るようになります。

集客の仕組みだけでなく、人事制度などにも活用しやすい技術です。

例えば、

・シンクスマイル「CIMOS」
・サムスンネイション
・AKB公式音ゲー

などで活用されています。
 
 

4.スコア・ランキングの技術

「スコア・ランキング」の技術とは、行動に対する得点や順位が明確に分かる仕組み、のことです。

cup-1615074_640明確な得点がわかることで、次はそれを超えたい、というモチベーションになります。

また、順位が明確にわかることで、他の人より上位に行きたい、というモチベーションになります。

スコアやランキングという明確な得点や順位があることで、口コミも起こりやすくなる、という要素もあります。

例えば、

・マツダ「i-DM」
・任天堂DS「脳を鍛える大人のDSトレーニング」
・AKB48「選抜総選挙」

などで活用されています。
 
 

5.即時フィードバックの技術

「即時フィードバック」の技術とは、何らかのアクションに対して、すぐに反応が返ったり、結果がすぐに分かる仕組み、のことです。

ゲームの面白さは、何らかのアクションに対して早いフィードバックある、ということが基本になっています。

そうした要素をビジネスに活用するのが「即時フィードバック」の技術、です。

即時フィードバックには、

・何らかのアクションに対してすぐに反応する
・何らかのアクションに対して結果がすぐに分かる
・何らかの提案に対して、すぐに行動や反応ができるようにする

という3つのパターンがあります。

例えば、

keyboard-597107_640・フェイスブックの「いいね!」
・LINEのスタンプ
・東京ガールズコレクション
・東京ディズニーリゾート
・サンキューレター

などに活用されています。
 
 

6.レベルデザインの技術

「レベルデザイン」の技術とは、対象者のスキルや、初級者、中級者、上級者などのレベルに応じて、適切な商品やサービス、コンテンツを提供する仕組み、のことです。

すべての人の満足度を上げることで、モチベーションを高める仕組みです。

その人のスキルやレベルに応じて、最適なものを提供するわけですが、多くの人は自分自身のスキルやレベルはわからないことが多いので、最初に診断や検定を行うことでレベルを判定し、そのレベルに応じて商品・サービス・コンテンツを提供する仕組みを取り入れるとスムーズになります。
 

例えば、

・英会話学校
・スポーツクラブ
・ドクターシーラボのオペレーターの仕組み

などに活用されています。
 

7.競争の技術

「競争」の技術とは、競い合う仕組み、を取り入れることです。

「人」同士の競争だけでなく、「商品・サービス」同士を競争させる方法もあります。

お客さま個人での競争
お客さまチームでの競争
自社の商品・サービス同士の競争
自社のスタッフの競争

などが考えられます。

また、競争の仕組みを取り入れることで、自然にその過程において「ストーリー」が生まれるので、そのストーリーを集客に活用することもできます。

例えば、race-1285121_640

・A&Kビア&フードステーション
・AKB48「選抜総選挙」
・レシピコンテスト
・トレーニングプログラム

などで活用されています。

 

8.カスタマイズの技術

「カスタマイズ」の技術とは、自分の好みに応じて、作り変えたり、選択したり、調整したり出来る仕組み、のことです。

自分の好きなようにカスタマイズできるようになっていることで、その対象により愛着が湧く可能性が高くなります。

カスタマイズの技術をより有効に活用するための方法として、

・お客さまが自分でカスタマイズできる要素を取り入れる

・カスタマイズしたもの、されたものを共有出来る場を作る

という方法があります。

classic-automobile-1672002_640例えば、

・ドットドロップス
・ラーメン
・ハーレーダビッドソン
・DELLのPCのオーダー

などで活用されています。
 
 

9.協力の技術

「協力」の技術とは、人と一緒に行動することで何らかのメリットや体験が有る仕組み、のことです。

協力の技術を取り入れることで、

誰か一人だけが脱落する、ということが起こりにくくなるので、商品・サービスを継続してもらいやすくなります。

また、一緒に〇〇した、という体験が生まれることで、その商品・サービス自体以外にも記憶に残るようになります。

協力のパターンとしては、

・同時参加でメリットが発生する
・購入者が非購入者を紹介することでメリットがある
・チーム、コミュニティを形成することでメリットがある

team-386673_640という3つのパターンがあります。
 
例えば、

・携帯電話各社の家族割
・クラウドファンディング
・100人ビールラボ

となどで活用されています。
 
 

10.「価値観の共有」の技術

「価値観の共有」の技術とは、自分の作ったもの、自分の考えたこと、自分の価値観などを、他の人に共有できる仕組み、のことです。

自分の作ったもの、自分の考えたことなどの「センス」や「感性」を認められたり、褒められたりすることで、モチベーションが上がり、さらなる次の行動につながるようになっていきます。
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例えば、

・クックパッド
・ヤマップ
・トリッピーズ
・じゃがり校
・100人ビールラボ

などで活用されています。

 

11.イベントの技術

「イベント」の技術とは、一定以上の人数が集まる機会を作り、対象者を巻き込む仕組み、のことです。

イベントの技術の有効な活用法として、

・購入していただいた商品やサービスを使う場をつくる

・これから購入しよう、利用しようとしている商品・サービスの体験の場をつくる

という方法があります。

イベントの技術を活用することで、注目が集まりやすくなるので、人も集まりやすくなります。

また、そのイベントの場で、次の方向を指し示すことで、参加者、体験者が商品、サービスの新規購入や再購入へとつながる可能性が高くなります。

例えば、audience-868074_640

・アシックス「ナイトラン」
・IKEA「お泊まり会」
・着物でお出かけツアー
・ヨドバシカメラ撮影会

などで活用されています。

 

12.ストーリーの技術

「ストーリー」の技術とは、ビジネスに物語性、ストーリーを取り入れる、ことです。

コンサルタント型ビジネスは、事前にお試しすることが難しいので、クライアントの事例などをストーリーで伝えることで仮想体験をしてもらうことができます。

ストーリーにはいくつかのパターンがありますが、ゲームをはじめ、映画やドラマ、小説などで良く用いられる構成として「ヒーローズジャーニー(神話の法則)」があります。

①日常の世界(主人公はごく普通の生活をしている)
②冒険への誘い(突然、敵に生活が脅かされる)
③冒険への拒絶(敵から逃げ出したくなる自分と闘う)
④賢者との出会い(敵に立ち向かうためのアドバイスをする人が現れる)
⑤試練(敵に立ち向かう自信をつけるための苦難に直面する)
⑥仲間・ライバルとの出会い(同じ意志を持つ仲間や、共感できるライバルが現れる)
⑦最大の試練(仲間やライバルによって成長し、最大の苦難に直面する)
⑧報酬(苦難を乗り越え、報酬を手にする)
⑨帰還(元の日常の場に戻る)

という構成になっています。

人は「成長」の要素にもっとも共感し、心揺さぶられるため、成長のストーリーがビジネスでも効果を生み出します。

自分のストーリー
クライアントの事例ストーリー
商品・サービスの開発ストーリー
経営者やスタッフの理念や思いのストーリー

などでよく使われます。

例えば、

・ダッフィーのストーリー
・ユニクロ「ヒートテックストア」
・やずやのCM

などで活用されています。
 
 

13.グラフィカルの技術

「グラフィカル」の技術とは、映像・画像・写真・イラストなどを活用する、ことです。

グラフィカルの技術を活用することで、より多くの情報量が伝わるようになり、わかりやすくなる、というメリットがあるのはもちろん、

より印象に残るようになったり、
期待を高めたり、

することができるようになります。

印象に残ることで、新規の受注につながったり、リピートの獲得につながったり、ということが起こるようになります。

また、期待を高めることで、お客さまが次へ次へ、先へ先へ、と進んでくれるようになります。

例えば、work-ford-smart-gauge-ecoguide-empower-mode-700x394

・フォード「Smart Gauge」
・神戸北野ホテル「朝食メニュー」

などで活用されています。
 
 

14.リメンバーの技術

「リメンバー」の技術とは、印象付けて対象者の記憶に残り、忘れられないようにする仕組み、のことです。

見込み客やお客さまの印象に残るようになれば、当然新規のクライアントの獲得や、リピート購入につながっていきます。

方法としては、頭の中に自然に浮かぶようにする、絶えず目に触れるようにする、という仕組みの作り方があります。

具体的には、

・日にち・曜日・時間を決めて印象づける
・場所で印象づける
・タイミング、場面で印象づける
・何かを預かることで記憶に残す
・常に目に触れる

hand-859510_640などの方法で印象付けることができます。

例えば、

・AKB48「コンサートでのサプライズ」
・スーパーの特売日
・塚田農場「みそのお土産」
・水道修理のマグネット

などで活用されています。
 
 

15.プレリレーションシップの技術

「プレリレーションシップ」の技術とは、次の商品、サービスを手に入れたくなる、先に進みたくなる仕組み、のことです。

まず、基本的な方法として「ステージ」をつくる、ということが重要です。

ゲームにステージがあるように、ビジネスにおいてもステージを明確化することで、先に進みたい、ということが起こるようになります。

そして、今の状態に加えて、先に進んだり、別の商品やサービスを組み合わせたりすることで、より良いことがある、より楽しむことが出来る、より有益であるといった提案を行っていきます。
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組み合わせのパターンとしては、

・最初のモノの価値が上がる
・後のモノの価値が上がる
・最初と後、それぞれの価値が上がる
・全体の価値が上がる

というパターンがあります。

また、最初は低いハードルで試してもらうことで関係性を作り、次のよりメリットのある提案にステップアップしてもらう、という仕組みにも活用できます。

例えば、

・コナミ「ボディスキャン」
・ディアゴスティーニ「ロビ+ロビの乗るクルマ」
・仮面ライダー「ベルトの玩具」

などに活用されています。
 
 

16.シークレットの技術

「シークレット」の技術とは、謎、秘密、今だけ、ここだけといった要素を取り入れることです。

シークレットの要素があると、先を知りたい、先に進みたい、今すぐ行動したい、というモチベーションが高まります。

人は先がわからないからこそ、それを知りたいと思い、行動するようになりますので、常にシークレット性を取り入れていくことで、お客さまにより行動をしてもらえるようになります。

例えば、

・福袋
・ガチャガチャ
・紀伊国屋「本のまくらフェア」
・ミステリートレイン
・ここでしか買えない●●

などで活用されています。

 

17.驚嘆の技術

「驚嘆」の技術とは、驚きやサプライズの要素を取り入れる、ことです。

人は「当たり前のこと」「知っていること」には興味を持ってくれません。

「予想外」「想定外」な事が起きると「驚き」を感じ、興味を持ってくれるようになります。

特に新規の集客に関してはお客さまの持っている「常識」を「破壊」するということが、もっとも重要になります。

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例えば、

・アップル社スティーブ・ジョブズのプレゼン
・湖池屋「1トンのポテトチップスプレゼント」
・レストランでコースメニューにない料理が出て来る
・めん馬鹿一代「火を噴くラーメン」

などが挙げられます。

 

ぜひ、「ゲーミフィケーション」の技術を活用して、お客さまが先に先に進みたくなり、自然に売上が上がる仕組みを構築してみてくださいね。

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